新しい環境への不安に寄り添う——子どもたちとの信頼関係の築き方【ぽぷらの樹東住吉】
新年度の始まりとともに大切にしたいこと
4月、新しい年度がスタートしました。
進級や進学を迎え、環境の変化に戸惑う子どもたちが増えるこの時期。新しい環境に適応しようとする中で、不安や緊張を抱える児童が少なくありません。
だからこそ、私たちはひとりひとりの様子をしっかりと見守り、いつも以上にじっくりと話を聞くことを心がけています。
「先生、聞いて!」の声に寄り添う
「あのね、せんせぇ、きいて。」
「なぁに、どうしたの?」
何気ないやり取りの中に、安心感や信頼関係が築かれています。
子どもたちにとって、自分の話を聞いてもらえることは、心の安定につながります。温もりを感じられる関係性の積み重ねが、信頼へとつながるのです。
私たちが大切にしているのは、ぽぷらを「自分の居場所」と感じてもらうこと。そして、毎回「ここに来るのが楽しみ!」と思ってもらえるようにすること。そのために、子どもたちとの時間を日々大事にしています。
自身の体験から気づいた「傾聴と共感」の大切さ
先日、私自身が体調を崩し、病院を受診しました。
初めての病院、初めての先生。最初は緊張と警戒心がありました。しかし、問診票を渡し、症状を伝えた後、先生がこう言ったのです。
「それは辛かったですね。長い間、よく耐えましたね。」
その言葉を聞いた瞬間、ほっと安心し、先生に親しみを感じました。
この先生は、私の話を途中で遮ることなく、しっかりとうなずきながら聞いてくれました。そして、電子カルテに入力する際も画面ばかりを見ず、最後にはしっかりと私の目を見て「お大事に」と声をかけてくれたのです。
その瞬間、「ここに来てよかった」と確信しました。
これはまさに、傾聴と共感の力。相手の話に耳を傾け、気持ちに寄り添うことで、信頼関係が築かれるのだと改めて実感しました。
支援の現場でも生きる「傾聴と共感」
子どもたちの不安に寄り添うことで、少しずつ心を開いてくれるようになります。
そうすることで、より良い療育へとつながり、子どもたちが安心して楽しい時間を過ごせるようになります。そして、元気に笑顔でお家へ帰ることができれば、保護者の皆さまも安心し、喜んでくださるでしょう。
世の中は人と人との関わりで成り立っています。
大人と子ども、大人同士、子ども同士——どんな関係においても、まずは相手の話をしっかり聞き、共感し、気持ちに寄り添うことが大切です。
そして、自分の意見があれば、その上で議論し、理解を深める。
そうした思いやりの輪が広がることで、より素敵な未来や社会が築かれていくのではないでしょうか。
新年度を迎えて
新しい環境に慣れるまでの期間は、子どもたちだけでなく、大人にとっても慌ただしいものです。
そんな時こそ、目の前の児童たち、そして一緒に働く仲間たちとの関係の中で、
「傾聴」と「共感」
この2つを大切にしながら、より良い支援を提供していきたいと思います。